幽霊の思い出話

「実はさ、俺昇進したんだよ」

「そうなんですか。おめでとうございます。じゃあ、この前話していたプレゼン成功したんですね」

「うん」

 満面の笑みだった。

「あの時背中押してくれたから頑張れたんだよ。真沙美ちゃん、ありがとう」

 心がスゥーっと晴れるようだった。さっきまでのもやもやを消し去るように。たったこの一言だけで、私は嬉しい。

「大橋様の努力の結果ですよ。本当よかったですね」

 つられて私も一緒に笑顔になった。
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