幽霊の思い出話
「なんですか?」
差し出された紙に目を向けると「ミニチュアのお城展示」と書かれていた。
「取引先のお客さんに貰ったんだけどね。今、何ヵ月かの期間限定で博物館で特別展示してるらしいんだ」
「大橋様、お城好きなんですか?」
「んー、お城というより古いものが好きなんだ。歴史とかね。時代劇とかついつい見入っちゃうんだよねぇ」
そう言いながら頭をポリポリと掻いていた。
「時代劇ですか・・・。あっ、大橋様。聞いてもいいですか?」
「うん?何?」
「脱藩ってどういう意味ですか?」
「脱藩?どうしたの?急に」
唐突な質問に目を丸くしていた。
「いや、ちょっとこの前小説で読んでてわからなくて」