翼[短編]
『未来を占ってくれるんじゃないんですか?』
「あなたの周りに見えるものが分かれば、自ずと未来も見えますよ。」
そう言って、彼女は微笑むと、それ以上の質問は受け付けないとでも言うように、絵を描くことに集中しだした。
時折、俺の顔を睨むようにみつめながら。
そんな彼女を見て、やっぱり一時の感情に流されて、占いになんか入ったのは、間違いだったかもしれない。
と後悔し始めたとき、
「出来ましたよ。」
と言って、彼女は俺に紙を差し出した。
そこに描かれた俺には、大きな翼が描かれていた。
『は…?』
なんで翼なんだよ?意味分からない。
こんな俺に、翼が生えているわけないだろ?