私だけの甘々彼氏
「あ、あたし・・・瀬戸君、誰か・・・わかんない・・・。」
あたしがしどろもどろに答えると、
「当たり前だ。俺、名字変ったし。」
瀬戸君が優しくあたしの頭をなでる。それって、親が離婚したとかかな・・・。
「名、名前は・・・」
あたしが聞く前に瀬戸君は、
「拓海。」
とみじかく答えた。
た・・・く・・・み・・・って・・・。
「う・・・そ・・・。」
あたしは信じれなかった。
拓海君にまた会えるなんて。
拓海君はあたしの初恋だった。小3の頃凄く仲が良くて、大好きだった。
なのに、なのに・・・拓海君はあたしに何も言わずに引っ越した。
あたしが告白しようとしていた矢先に。
拓海君だってきっと知ってたはずなんだ。あたしが拓海君を好きな事くらい。
なのに、連絡先さえも教えてくれなかったんだ。
大好きだったのに、大好きだったのに。
その後何度も考えた。あたしに連絡先を教えてくれなかった理由。
それで、あたしの初恋は散ったんだ。
「嘘じゃない。現実。」
拓海君が言う。
「た・・・く・・み君・・・どぉして・・・。」
「もどってきた。8年間、きっと会えると信じてた。」
ああ、もうあれから8年がたつのかー・・・。
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