Distance
「・・ちょっと行ってくる」
あたしは浩太のレガーシを自転車のカゴに放り投げると、サッカークラブが練習をしている小学校へ向かった。
「姉ちゃん、遅いし!!」
グランドのすみに自転車を止めていると、練習用のユニホームを着た浩太が駆け寄ってきた。
「こんなもん忘れるあんたが悪いんでしょ!!」
あたしはそう言って、浩太にレガーシを投げつける。
「おぉ~!ありがとー!」
「部活ない日くらい、ゆっくり寝させてよ・・」
「そんなこと言ってっから太るんだよ。中学生、来てるよ」
浩太はそう言ってグランドを指差した。
チームのOBだろうか・・
小学生にしては体格の違いすぎる人物が一人、一緒にサッカーをしていた。
「じゃ、俺行くわ。ありがとー」
浩太が走っていったのと同時に、サッカーをしていた中学生がこっちに向かって歩いてきた。
見覚えのあるシルエット・・・