まだ好きです(完)
…という事で、私は駿を遊びに誘ったって訳で。


私は祈り続ける。

駿がOKしてくれますように。

瀬羅ちゃんが来ませんように。





外からは、ソフトボール部の力強い掛け声や、テニス部のキンキンするような声が、まるで合唱をしているかのように、綺麗にはもっていた。


3階では、吹奏楽部が、パート練習をしているようで、たくさんの楽器が、音を出していた。


教室には…私達だけ。


その意味を深く考えると、なんだか緊張してしまう。

でも、もっとこうしていたい、前みたいに、ぎゅってしたい。


こういう思いも、決して消えることはない。



愛しい。触れたい。でも、私と駿の間には境界線のようなものがあって、なかなか超えられない、壁があった。


すごく頑丈で、すごく高い。壁。



前までなかったのに、急にでてきた、大きな壁は、きっと駿も気づいていただろう。



そんな気がした。



カーテンから、チラチラと見える、野球の白いユニフォームをきている野球部員が太陽に照らされて、青春のオーラを醸しだしていた。



廊下をコツコツ歩く吹奏楽部は、私達を見て、申し訳なさそうに、小走りで私達がいる教室を通り過ぎた。


「もう、付き合ってないんだよ」


そう言いたかったが、駿に私がもう付き合っていないということを認めたと思わせたくないので、あえて言わなかった。



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