まだ好きです(完)
「帰る!!!」



いきなり、彼女は、カバンを持ち、教室からでていってしまった



まあ、いいや。



俺は、ちょっと赤くなった頬をびょーんと掴んで見せた。



「何動揺してんだよ、俺。」



信じる…なんて、記憶をなくす前、俺が雛に言ったのか?


すっげー、熱血な教師が言う名セリフ。


記憶をなくす前の俺を知りたい。


いったい俺はどういうやつだったんだろうか?


雛がすきなのは「記憶をなくす前の俺」であって


「今の俺」のことを、どう思っているんだろう?




信じる。信じる。



雛はまっすぐ、俺の目を見ていってたな。


一瞬も横を見ないで、まっすぐ、ターコイズのように輝いている、その瞳で。


『私は信じる。』



記憶は戻らねー。って医者に言われて、「それは、違うんじゃないですか?」なんていう患者さんなんて、まず見たこともない。でも、雛は、俺に向って「違う」と言った。



『記憶は戻る』



そういった。



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