夏と秋の間で・甲

「バレてしまったか・・・。」



「マジ・・・・・?」



 身を乗り出して、亜紀の顔を覗き込む。



 彼女の顔が赤らんでいるのが良く分かった。



「・・・・・・・うん。」



 短く頭をたれる亜紀。



「・・・・いつから?」



「去年の秋ぐらいからかな・・・?もう、よく覚えてないや。」



 去年の秋。



 ちょうど、自分が大場さんを意識しだした頃だ。



「・・・・・・・そうか。」



 体制を戻して、短く返事を返す。



「・・・・・・うん。」



 ソレに対して、亜紀の恥ずかしそうな声。



 彼女の声をここまで意識したのは、出会ってから初めてのことだろう。



 答えを出さないといけない・・・・。



 土曜日・・・速人が言っていたこと・・・・・。



 俺は、亜紀をとるのか・・・・それとも、大場さんを追いかけるのか・・・・



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