シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
ふと、脳裏に一つの映像が蘇った。
あたしは誰かとこうして並んで、
ツツジの花の蜜を、吸った……。
しかしそれは一瞬で、
その場所がどこだったのかも、
一緒にいたのが誰だったのかも、思い出せなかった。
「……どうしたの?」
千影くんが、あたしの顔をのぞきこむ。
「ねえ……あたしたち、やっぱり、
過去にあったことがあるでしょ?」
「なに、いきなり」
「オーディションの時に千影くんを見つけて、
ずっと気になってたの。
ねえ、本当にあたしの勘違いなのかな」
あのときあたしは、思ったんだ。
あたしは、絶対にあなたを知ってるんだって。
「さぁ……俺は覚えてないよ」
千影くんの口から出るのは、そんな当たり前の、
期待はずれの答えだった。