夢花火




数秒たつと、男は溜め息をついた。


根負けしたようだ。



「......俺は土方歳三だ」


相変わらず眉間に皺がよった状態でそう言った。


「私は、壬生浪士組の一番組組長の、沖田総司です」


沖田は、にこにことしながらそう言った。


壬生浪士組…。


後に、新撰組となる集団だ。



タイムスリップではないことを、ただただ心の中で願った。



「おい」



土方に呼ばれ、はっとする。


「こっちが名乗ったんだ。お前も名乗れ」


そうだった。


「…松林千春だけど」



これが本当にタイムスリップだとしたら、私はこれからどうなるの?




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