夢花火
そして沖田は、話を続ける。
「そういえば、ひと月ほど前にも江戸から来たって言ってた女の子に会ったんですよ」
「そうか」
まぁ平成でいう上京みたいな感じで、江戸から京都に来る人は多いだろう。
「名前…。何だったかな。えっと…」
「………」
沖田は、さっきから「えっと」を繰り返している。
「あ、そうだ!日和さんだ!」
「そう……って、はぁ?」
日和?
でも、日和なんて名前、たくさんあるだろうし…。
いきなり間の抜けた声を出した私を、皆がじろじろ見てくる。
「千春さん……?日和さんを知ってるんですか?」