君にすべてを捧げよう
「な、なに言ってんの。あたしにはあんな、けんちゃんや真樹ちゃんみたいな可愛い子、いないんだよ? 一人も!」

「あら、それはこれからでもできるでしょう。別に、すぐ産まなくちゃいけないわけじゃないんだし」

「それは、そうだけど。つぐみはあたしなんかと人生経験が違うっていうか」

「私とめぐるのは、種類が違うだけだよ。羨むことはあるかもしれないけど、自分の進んだ道を卑下だけはしちゃダメよ」


つぐみは相変わらず、しっかりしている。
気付けば諭されていて、あたしは畏まって話を聞いていた。


と、つぐみが悪戯っぽくあたしの顔を覗き込んだ。


「にしても、一体どういう心境の変化な訳? めぐるが私のことを羨むなんてこと、一度もなかったのに」

「そ、そんなことないよ。いつも羨ましかったよ?」

「そお? でも、わざわざ口に出したってことは、そうさせる何かがあったってことでしょう?
もしかして、彼氏でもできた?」


さすが、主婦は勘が鋭い。
いきなり核心を突かれて、あたしはもごもごと口ごもった。


「あ、や、その……」

「え? あら? ホント? 当たりだった?」


ぱあ、とつぐみの顔が明るくなる。


「誰? あのエッチな小説書いてるとか言うハトコだか何だかの人!?」


つぐみには、蓮とのことを少しだけ話していたのだった。

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