君にすべてを捧げよう
『固定資産税のお金振り込んでおいたからー。
あ、あと草むしりやってくれてる? 気を抜くとジャングルになっちゃうわよ』

「はいはい、了解。草むしりも休日返上でやってますから。あ、植木の剪定したいからお金入れてよ。ぼさぼさなの」

『えー、めぐるができない?』

「できない! どれだけあると思ってんの? あたしにやらせようって言うんなら、全部根本から叩き斬るからね!」

『あら、怖い怖い。で、勇ましいめぐるちゃんは、彼氏はできた?』


くす、と笑って言うそれには、僅かな期待も含まれていない。
あたしがそういうものに無縁だと、分かっているからだ。

親なんだから、期待くらいしてくれてもいいと思う。
いや、それを裏切り続けた結果が今なんだろうけど。


『あら無言ね。分かってる分かってる。まだまだよねー、うふふ。
でもね、あんた、蓮を見習いなさいよ』

「は? 何で蓮が関係あるの?」

『由香から連絡来たんだけどね、蓮、とうとう彼女が出来たらしいわよー』


どん、と心に重りが落ちる音がした。
潰されてしまったかと思った。

蓮に、彼女……?


「う、そ……」

『嘘じゃないわよぉ。一昨日だったかな? 由香が蓮のマンションに行ったらしいんだけど、そこに女の人がいて、それがまあ、仕事中の蓮の世話をこまめに焼いてたんですって!
あれは彼女以外の何物でもないわ! ってまあ、喜んでた』


呆然とする。その場にへたり込んだ。


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