君にすべてを捧げよう
「ねーハイネ。メニュー何?」

「御希望通り、和食ですよ。茶碗蒸しに、お浸し。味噌汁に、チキン南蛮。どうでしょう?」

「ハイネ大好き」

「はいはい」


出来あいの惣菜が食生活の中心だと言う鏑木さんは、作りたての物が食べたいという。その為、揚げ物はこれから始める。
てんぷら鍋を出して支度をしながら横目で見ると、鏑木さんはテーブルに置かれていたフリーペーパーをぺらぺらと捲っていた。
それはつぐみがあたしにも、と置いて行った物だ。
ちょうど、あたしの載っているページが開かれる。


「うわ、それ! 恥ずかしいから見ないでくださいよ!」

「あはは、ハイネ、顔が引きつってる」

「すっごく緊張したんですってば!」


微笑めと急に言われても、出来るはずがない。
写真の中のあたしは、自分で見ても可哀想なくらい笑顔が引きつっていた。


「その点、鏑木さんはいつもの笑顔ですよねー」

「何度かこういう取材受けたしね。慣れたのかも」

「え、そうなんですか!?」


鍋の温度を確認していた手を止める。


「んー、3、4回かな? 前の店にいるときにね」

「すご……」

「大したことないよー。1件はヘアアレンジ特集とかで、俺が全面って言うわけじゃなかったし」


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