君にすべてを捧げよう
「うー、満腹。ごちそーさまでした」

「完食して頂いて、ありがとうございました」


鏑木さんは、テーブルに並んだ料理を全部美味しいと言って食べてくれた。
勿論、こげ茶色になったチキン南蛮も。


「食後に米粉ケーキあるんですけど、後がいいですよね」

「ん。今無理。後で貰うね」

「濃いコーヒーと一緒に出しますね」

「はーい」


洗い物を片づけていると、鏑木さんが横に立ち、布巾を手に洗った食器を拭いてくれた。


「あ。ありがとうございます」

「いえいえ。これくらいしかできないので」


他愛ない話をする。
鏑木さんといる時間に、慣れてきている自分がいる。
穏やかなそれは、存外嫌いじゃない。

こんな時間を重ねていけば、あたしは幸せになれる気がする。
鏑木さんは優しいし、大事にしてくれるし、何より尊敬もしている。
あたしは、この人の想いに応えて行こう。

蓮のことなんて、忘れ去ってしまえばいい。



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