君にすべてを捧げよう
片づけを終え、リビングに移動した。
いつもは自分一人のラブソファに、並んで座る。

なんとなくテレビをつけてみたけれど、バラエティではあたしの緊張感を消し去ってくれなかった。

触れあっている右側が、熱い。


と、鏑木さんがあたしに視線を向けるのが分かった。
カチンと固まってしまう。
しばらく会話もなくその状態を維持していたが、吹き出したのは鏑木さんだった。


「あはは、ハイネってばすっごく緊張してる」

「! ちょっと、笑わないでください!!」

「だってさっきの写真と同じ、ガッチガチなんだもん。あはは、面白い」


ひとしきり笑った鏑木さんは、ふ、とあたしの後頭部に手を添えた。
そのまま、引き寄せられる。
瞳を閉じる鏑木さんの綺麗な顔を、あたしもゆっくりと瞼を降ろすことで消した。

柔らかな唇に、触れた。


何度も吐息を交換してみれば、舌が入ってくる。
最初こそどうしていいか分からなかったあたしも、それを己の舌で受け止めることを覚えた。
優しく絡み合う舌。時折、歯列を舐め、頬裏を刺激する。
舌を差し入れれば、甘噛みで迎え入れてくれる。


「ん……、ふ……」


血が温度を上げていく。
頬は紅潮し、躰の奥が溶岩を生み出そうとする。

キスだけでこんなにも躰が言うことを聞かなくなるなんて、知らなかった。


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