君にすべてを捧げよう
さらりと、鏑木さんの指が髪を梳いた。その手は首筋を流れ、ワンピースの胸元に触れた。


「ん……」


するりと入り込んだ手が、胸元を大きく広げ、襟口を肩に落とす。
あたしの口を開放した鏑木さんのそれは、鎖骨に降りた。
骨を、舌がなぞる。


「あ、や……、鏑木、さ……」


煌々とした灯りの下、テレビでは素人の女の子が愛の告白をしている。
羞恥で鏑木さんを押しとどめると、彼はくすりと笑って、テレビを消した。


「照明も消そうか?」

「あ、う……」


真っ赤になる。
と、来客を告げるチャイムの音が響いた。


「ん? お客?」


鏑木さんが壁掛け時計を見上げる。つられて見上げると、21時に迫ろうとしていた。


「誰、だろう」


再び、チャイムが鳴る。乱れた服を整えながら、玄関へ向かった。


「はい? どちら様でしょう?」

「俺だ」


引き戸の向こうの声は、蓮だった。


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