君にすべてを捧げよう
「へー。それはすごく便利だね。さ、中に入ろうか」

「あ、そう、ですね……」


促されるままに、家の中に入る。
蓮の様子が気にかかる。しかし、あたしが気にすることではないのだ。
蓮のもとには、もうすぐ瑞穂さんが来る。
そして美恵さんすら入れなかった執筆中の離れに、彼女は入るのだ。


「ね、ミズホさんって、編集さんか何か?」

「彼女、らしいですよ」

「へ、え」


鏑木さんが小さく呟く。
その声に、はっとする。

この人の前で、蓮を気にするそぶりを見せるのは失礼だ。


「あ、あー、と。お風呂使ってください。あたし、その間にお布団の支度とかしてますから」

「あ、そう? じゃあそうしようかな。ハイネの家のお風呂ってでっかくって気持ちいいんだよね」


にこ、と鏑木さんが笑んだ。
と、次の瞬間にえいやと抱きかかえられた。


「せっかくでかいんだし、一緒に入ろっか?」


全身キレイに洗ってあげる、と言われて顔が真っ赤になる。


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