君にすべてを捧げよう
「あ、明日ベイビーズの会長さんが来る日だよね」

「あー……野原さん? ていうか、あの人会長なの?」

「貫禄があるからそうだって馬渡くんが言ってた」

「あはは、確かに」


仲良く食べて、片づけをして、お風呂に入る。
最初は暴れるくらい拒否したのに、今では目の前でごしごし躰を洗っても平気なのだから、あたしも母の適応能力を受け継いでいるのかもしれない。

湯上りには二人でビールを飲み、夜が更ければ一緒にベッドに潜りこんだ。


でもまだ、智とのセックスだけは、慣れていない。
慣れる日が来るのかどうかも怪しいものだ。

快楽に馴染めば我を失うことなどないだろうと思っていたが、否。
智に馴染めば馴染むほど、躰はコントロールできなくなっていくのだ。
最初はあれだけ痛かったのに、もう別の感覚に切り替わってしまっていた。


「ん……、は……っ」


アパートで唯一困ることがあるとすれば、それは両側の住人への配慮だ。
あたしは熱中すればするほど声が大きくなる。
それを堪えるのが、至難の業なのだ。

唇を噛んでみたり、タオルを咥えてみたり。
今のところどうにか隠せているけれど、毎回ひやひやしてしまう。


「めぐる、声もっと出してもいーよ?」

「ば、ばか……っ!」


智は堪えるあたしを見て喜ぶ、ちょっと変わったところがあるので、油断すれば激しい攻めを与えられてしまう。


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