君にすべてを捧げよう
「あの、瑞穂さんって、蓮の彼女……ですよね?」

「はあ? ちょっと、止めてよー。私あんな気難しい男、御免よ?」


あはは、と大きな口を開けて瑞穂さんは笑った。


「仕事! 仕事の付き合いしかないわよ。だいたい、親友の元恋人とそんな仲になんて絶対なりたくない」

「え、だって蓮の母親が絶対そうだって言ってたって……」

「あー、あのお母様ね? そういえばニコニコしてたけど、やだ、勘違いされてたの? あいつの彼女だって? ムリムリムリ!」


ひいひいとお腹をさすって笑っていた瑞穂さんだったが、意味ありげにちろりと視線を流してきた。


「でも、そっかあ。私と蓮をそういう目で見てたから、あの時あんなに冷たかったんだ」

「え? え?」

「ここに来たときよ。久しぶりに会って嬉しかったのに、敵意丸出しで睨んでくるんだもの。昔のまんまだったのは、ちょっぴりおかしかったけど」


目の端に滲んだ涙を拭って、瑞穂さんは言った。


「相変わらずお兄ちゃんっ子なのね。ここまで続いてると、むしろ嬉しくなっちゃう。
心配しないで、私には他に恋人がいるから」

「あ、そう、なんですか」

「そう。だから、勘違いが解けたなら仲良くして欲しいわ。もうしばらくここに通うことになるから、ギスギスしたくないもの」

「あ……、は、い」


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