君にすべてを捧げよう
この変化はなんだろう。
昔はこんなに砕けた人じゃなかったと思う。

あたしが知ってるこの人はいつもイライラして、蓮にもキツくて、あたしを疎んじているようなフシがあったのに。

なにより、あれだけ憎んでいた蓮と、どうして今は仲良くなったの?
彼女と間違われるくらいかいがいしく、泊まりこんでまで世話をするのは、編集の仕事だから?
そこまで割り切れるの?


「あの」

「なに?」

「いつから、蓮と親しくなったんですか? 最後に会ったときは、あんなに……」


今でもはっきり覚えている。
『絶対に許さない』と、凄絶なまでに美しい顔で叫んだ瑞穂さんを。

しかし、そんな表情とは全く無縁そうにきょとんとした瑞穂さんは、「え?」と甲高い声を上げた。


「いつから、って。私が蓮に謝ってからよ。知ってるでしょ?」

「謝って……? いえ、知りません、けど」

「うそ!? 私、蓮に伝言もお願いしたのよ? めぐるちゃんにも悪いことしたから、謝罪しておいて、って」

「初耳、です……」


何のことだろう。
蓮はあたしの前で瑞穂さんの話なんて一切しなかった。


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