君にすべてを捧げよう
黒田さんの告白を聞いてしばらくの後、瑞穂さんは蓮に謝ったのだと言う。


「美恵と黒田さんのことを知らなかった時点で、私に蓮を責める権利はなかった。
蓮はきっと、黒田さんが告白しなければずっと黙っていただろうし、私に憎まれ続けたんだと思う。
美恵を、彼は彼なりに守ろうとしていたんだと思う」


瑞穂さんに、蓮は「いい」と言った。「責め続けてくれていい」と。


「黒田さんにあんなこと言っておきながら、蓮は自分を責めてた。
自分から別れを切り出してあげれば、美恵も黒田さんも幸せになれたかもしれない、って。

でも、それができなかったのね」


蓮は、他の男の人を想い、妊娠までした美恵さんのことをそれでも愛していたのだろうか。
別れを切り出せないほどに。

ふ、と思い出す。
あの夜に見たダイヤのリング。

蓮は、黒田さんに捨てられた美恵さんに、結婚を申し込んだのだろうか。
全てを知っていて、尚。


足元が掬われる気がした。
血液が一気に引いて行く。


そこまで想っているのなら、あたしの立ち入る隙間がなくても、仕方ない。
あたしが美恵さんに敵わなくても、仕方ないのだ。


瑞穂さんはそんなあたしには気付かずに話を続けた。


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