君にすべてを捧げよう
「さっき結婚申し込んだけど、俺の店が軌道に乗るまで、婚約という形で待っててほしい。
ごめんね、こっちの話を先にするべきだった。さすがに焦ってたんだな、俺」


苦笑したのち、顔を改めた智は真面目な口調で言った。


「めぐるに苦労とかかけたくないし、一日でも早く結果出すから、待ってて?
で、落ち着いたら、パートナーとして来てほしい。私生活でも、仕事でも」

「パートナー……」

「そう。だめ? 後だしになっちゃったし、やっぱり結婚、嫌かな?」


困ったように、眉尻を下げる。
その顔を、じいと見つめた。


「智は、肝心なところを言うのが遅い」

「はい、すみません」

「大事なことでしょう? あたしが寝ちゃってたらいつ話したの?」

「あ、朝、かなー?」

「ばか!」


少し大きな声で叱責すると、びくりとした智はこわごわとあたしを窺った。



< 189 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop