君にすべてを捧げよう
ひょいと智がしゃがんだ。
頭を撫でたかと思えば、ぐいと寄せられる。
月明かりの差しこむ中、触れるだけのキスをした。

ふ、と離れた後、智は「もう寝よう?」と言った。


「う、ん……」


智が障子を閉める。
玉子の黄身のような月は見えなくなった。


「さ、おいで」

「ん」


差し出された手を掴んで、立ち上がる。
布団に入れば、智はあたしを包むように抱きかかえたまま、眠りに落ちた。


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