君にすべてを捧げよう
「いいよ」


少しの後、オーナーは頷いた。


「いいよ。君たちの大切な門出だ。同業者として、祝福したい」

「オーナー……」

「約一ヶ月、Le Grand Blue二号店のスタッフとして頑張ってください。
このたびは、御婚約おめでとうございます」


店の裏の、物干し場。
オーナーはぱちぱちと拍手をしてくれた。


「あ、ありがとうございます……」

「うおおおおおおおお!」


涙を一粒落としたその時だった。
ドアを蹴破る勢いで乱入してきたのは馬渡くんだった。


「すっげぇぇぇぇぇぇぇっ! まじすか、まじで鏑木さんとハイネさんなんすか!?
うっわ、俺鏑木さんの彼女にハイネさんだけはないと思ってたのに!!
ちろんラブでハイネさんはないでしょ!?」


叫んだかと思えば智に駆け寄り、「いいんすかそれで!」と詰め寄る馬渡くんの頭をぱこんと叩いた。


「何がどう『いいんすかそれで』なのかなー? 馬渡くん」

「ひぃ! ハ、ハイネさ、ん……」

「羽衣ちゃんに言うよ? この間お客の女の子からクッキーの差し入れ貰ってたこと」

「うわ!? ど、どうしてそれを! 羽衣ちゃんのスパイ!?」


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