君にすべてを捧げよう
「そ、そんなことないですよ、鏑木さん!!」

「えー、いつもそうじゃない? 何かあったときは絶対タオル干してるじゃん」


にこにこと言う鏑木さんだったが、それはあたしにとって初めて知る事実だった。
え。あたしってそうだったっけ?
何かあったときにタオル干してるんだっけ?


「昨日のゴミ袋の件もそうだしー、あとはほら、いつだったか三田さんに女としての潤いがないとか説教されたときもそうだったでしょー?」

「あ、う……」


昨日は確かに。
それに、そう言われたら三田さんが帰ったあと、タオルを干してた記憶がある。
ある、けど。
えー、でもそうなの?
あたしってそんなわかりやすく感情を出してたの?
ショック!


「女としての潤いがないとか言われてんだ? めぐる」


しかし蓮にとっては別のことが気になったようで、くっくっと笑い出した。


「そうなんですよー。お見合い紹介に命かけてる感じのお客様なんですけどね、三田さんって。
その方がハイネに向かってずーっと、

『貴方は女として満ち足りてないのよ。男に愛されようとしなくちゃ!』

って説教してたんですよ」

「ちょ!! そういうことほじくりかえさないでください!!」


ようやく傷が癒えてきてたのに!
忘れてたのに!


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