君からはもう逃げられないっ!!
「――――と、ま、ここまでは誰もが知っていることだけど」
いまだに頭が混乱中のわたしに、先輩は息継ぎなしで一息に言った。
深呼吸を軽くして頭の整理をする。
いきなり出席番号とか
家族構成とか、
何から何までわたしといっしょだしって!
まさか……いやでも
今述べたやつは――
「もしかして……今のってわたしの……」
「そう、君のデータ」
「それに誰でも知ってるって……」
「出席番号や趣味とか不得意科目くらいなら誰でも知ってるけど……今言ったやつは調べたらわかるもの」
わたしはどんどん顔が青くなっていく。
……。
淡々と言ってくる先輩にわたしは思考回路停止寸前だった。
「まだあるけど」
「まだあるんですか!?」
「うん。言おうか?」
「遠慮します!」
と、即答。
わたし自身知らないこともありそうなことをこの先輩は知ってるだろうと瞬時に察する、
いったいどうやって調べたのだろうかと気になるが、敢えて聞かない。
怖いから。
「っく。はは。あはは」
急に笑い出した先輩。
左手の甲で口元をおい隠しながら笑う先輩は妙にあどけなく、無邪気さがあった。
温かく優しい光に包まれている感じで雰囲気がさっきまでと打って変わっていく。
あっけにとられるわたしはさぞかし間抜けな顔だっただろう。