君からはもう逃げられないっ!!
残されたわたしたちは、ただその去って行ったあとをぼーっと無言で眺めていた。
その静寂さは不快ではなく、ただ無に近い。
緩やかな風が吹き、木々たちが揺れる。
そんな自然な音だけがこの空間を占めていた。
その空間に自然と溶け込んでいく先輩。
わたしと先輩の距離はたった6Mくらいなのに近くて遠いと感じてしまうくらい、
この人は遠い存在なのだと最初に気づいてしまった。
そんな静寂を破ったのはわたしだった。
なぜかはわからないけどそんな距離をぶち破りたいと思ってしまったから――。
「あ、あの、助けて頂きありがとうございました。私一年の――」
「花澤…――花澤六花」
「え?」
「知ってるよ。1年E組、花澤六花さん」
(……名前、まだ言ってもないのに)
「なんで?」
「んー、生徒会長だからかな。ま、ある程度は生徒たちのことは、ね。それに君は有名だから」
「有名?」
何で有名なのか、さっぱり見当がつかないけど
大方いい方ではないに決まってる。
きっと――
「出席番号27番。生年月日は199×年4月4日。家族構成は父、母、姉の4人家族+猫一匹(ちなみに猫の名前はひかる)。
身長159,8㎝。体重43,8Kg。得意科目は国語と古典に社会。苦手科目は英語と数学。趣味は読書と猫と遊ぶこと。今年新一年生では断トツのNO,1美少女だと言われている」
え? 何?
何を急に言い出してるの??
訳の分らないまま、先輩の話が進んでいく。