君からはもう逃げられないっ!!
目が逸らせないくらい、その瞳には澄みきっていてすべてを見透かすような感じがある。
わけのわからない緊張に負けて、わたしは喉を鳴らした。
(ダメ。これ以上は……)
じっと見つめてくる先輩に、恥ずかしくなって、私から目を逸らした。
(うわぁ……きっと今の私の顔は、真っ赤だと思う……)
握った手も熱くなっていき、顔も同時に熱を帯びていく。
握ってる手すら恥ずかしくなって、離したい。
だけど、矛盾する自分がいる。
この手を離してしまったら……と。
このまま、さようならとあいさつをして、先輩は行ってしまうのではないのか。
そうなれば、物寂しく感じてしまう。
(え? 今一瞬わたしは何を思ったの!?)
寂しい? わたしが?
気のせいだよね……。
だって、今知り合ったばかりなんだから……。