君からはもう逃げられないっ!!


目が逸らせないくらい、その瞳には澄みきっていてすべてを見透かすような感じがある。


わけのわからない緊張に負けて、わたしは喉を鳴らした。


(ダメ。これ以上は……)


じっと見つめてくる先輩に、恥ずかしくなって、私から目を逸らした。


(うわぁ……きっと今の私の顔は、真っ赤だと思う……)


握った手も熱くなっていき、顔も同時に熱を帯びていく。


握ってる手すら恥ずかしくなって、離したい。

だけど、矛盾する自分がいる。


この手を離してしまったら……と。


このまま、さようならとあいさつをして、先輩は行ってしまうのではないのか。


そうなれば、物寂しく感じてしまう。


(え? 今一瞬わたしは何を思ったの!?)

寂しい? わたしが?


気のせいだよね……。


だって、今知り合ったばかりなんだから……。








< 13 / 16 >

この作品をシェア

pagetop