瞬きさえも忘れていた。




「式は確か……9月の第二日曜日だったと思う」


吉田さんは私を愛車で駅まで送ってくれて、別れ際、急に思い出したように教えてくれた。



9月の第二日曜日。


帰りの電車の中、運良く座席を確保できた私は、スケージュール帳を開いた。



大安か……。

そんなどうでもいいところに目が行ってしまう。



もう、考えたくないな。


陽奈乃さんが、岩本さんと別れて他の誰かと結婚するのが本当だとしても、岩本さんに電話なんか出来そうもない。


だって、何て言えばいい?

もしかしたら、フラれたのは岩本さんの方じゃないかもしれない。だったら今、岩本さんがフリーだとは限らない。



ほんと、何て言えばいいんだろう……。

わからないよ。



『諦めたくない』なんて、躍起になって言い張っておきながら、いざとなったら物怖じしてしまうなんて。

ビビリでチキンな自分に溜息がこぼれた。


< 230 / 255 >

この作品をシェア

pagetop