瞬きさえも忘れていた。




何の行動も起こせぬまま、その日はやって来た。


9月の第二日曜日、大安。



昨日は短大時代の女友達数人と、遅くまで飲んで歌って、半ば壊れ気味にはしゃいで。

すごく楽しかったけど、翌日の目覚めは最悪だった。


空っぽなはずの頭が、尋常でないぐらいに重い。

おまけに胃まで重い。吐き気をもよおすほどではないにしても、重度の不快症状に、中々布団から抜け出すことができなかった。



ベッドの上で布団にくるまったまま、意味もなく天井をぼんやり眺めて物思いに耽る。



岩本さんは陽奈乃さんの結婚のこと、どう思っているんだろう。


自分を捨てて将来有望な脳外科医を選んだ彼女を、恨んでいるだろうか。


それとも――

心から、祝福しているだろうか。


岩本さんならきっと、後者だと思う。



だったら……。



急に思い立って、バサリと布団を捲って跳ね起きた。


頭の天辺がキーンと痛み、思わず両手で頭を抱えてその場に蹲った。



けれど苦痛に耐えつつ、ベッドの横に無造作に転がっている鞄に手を伸ばす。


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