瞬きさえも忘れていた。
スマホを取り出して、目的の相手の番号を探す。


気持ちばかりが焦って、画面の押したいところに巧く指がのらず、違う画面が表示されてしまったりして、余計に時間が掛った。


時間ならたっぷりあるはずだし、急ぐ理由もないのにね。



数回のコール音の後、それは繋がった。


「もしもし? どした?」

いつもの朗らかな声が電話越しに聞こえた。



「お休みの日にごめんなさい。あの、吉田さん……前、話してくれた陽奈乃さんの結婚式って今日ですよね?」


「ああ、そうだっけ? うん、そうだった、そうだった」

吉田さんはすぐ、思い出したように頷いた。



「二次会の場所と開始時間ってわかりますか?」

躊躇う気持ちを吹き飛ばそうと、早口で一気に尋ねた。






お気に入りのワンピースに着替え、家を出たのは午後六時。

二次会の開始時間は午後七時。


吉田さんがわざわざ中学時代の友達に電話して聞いてくれた情報だから、間違いないはず。


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