星の輝く夜空の下で
第二章

意味



「夏芽ちゃーん!!」


春実は勢いよく走ってきて夏芽にぶつかった


「いたっ」

「おはよう、夏芽ちゃん」

「ちゃん付け止めて」

「分かった」


あの日から夏芽には人間の友達が一人できた


柚木春実、学校一可愛い女の子
だけど中学生の時は地味だったらしい


今日中学の卒業アルバムを持ってきてくれた


「これがあたし」


そこに映るのは地味と言うよりいかにもオカルト好きな女の子だった


「どうしたら今に至るの?」

「好きな人が出来たから」

「へぇ」

「頑張ったんだよ。低い声を高くしたり、ホラー小説から少女漫画に読み替えたり、あと、テンション高くしたり」

「へぇ」

「好きな人とは元々同じ中学校でね、高校も同じ高校入るためにわざとランク下げて受けて一年生で同じクラスになってちょっと仲良くなって中学の時よりすごく可愛くなったねって褒めてもらったから嬉しくて告白したらホラーは苦手ですって振られたの!!ヘタレだったの!!ショック!!」

「へぇ」


夏芽はきっと話の最中に幽霊が見える。きゃは♪とか言ってたんだろうなと妄想してた


「初恋だったな。高校生になって彼氏たくさん出来たけど、ちゃんと好きになった人はその人だけ」

「へぇ」

「ねぇ、夏芽の初恋は?」

「…ない」

「ないの?」

「うん…、ずっといじめられたりしてたから人間不振だったんだよね」

「そうなんだ。でもあたしと友達になって少しなおったかな?」

「…」


夏芽は春実を見て考えた
幽霊が見えるようになってから初めて出来た友達
最初は春実の事を信じれずにいたけど
同じ気持ちを経験してたと分かったら信頼出来た


「そうかもね」


夏芽は優しく笑った


「夏芽もっと笑いなよ。笑った方が可愛いよ」

「笑ってって言われると笑えない」


電話してる振りなんかしなくていい
気取らず自然に話せる事が夏芽はすごく幸せだった


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