あの空の音を、君に。



「涼?」

「涼」



伊月の声を遮るように、里麻が私の名前を呼んだ。



「な……に?」

「涼と話がしたいんだけど」



里麻が鋭い視線を私に注ぐ。



あのときの恐怖が蘇る。



あいつと同じように、私の前から姿を消した里麻。


その里麻が、私と話をしたい?




私の返事をきかずに、里麻は「ついてきて」と再びドアの向こうに姿を消した。


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