あの空の音を、君に。
背筋をぴんと伸ばして歩く里麻の後姿は、美しかった。
きれいというよりも美しい。
そういや、幼稚園の頃からバレエを習ってるとか聞いた事があるようなないような……。
1人でそんなことを考えていたら、里麻が立ち止まった。
薄暗いところ。私たち以外に人影はない。
「涼」
急に里麻が振り向いて、私と目を合わせた。
その目の中には、鋭くて強い光が宿っていた。
次の瞬間、里麻の口から思いもよらぬ質問が飛び出した。
「なんで伊月くんと付き合うの?」