あの空の音を、君に。
「なんでって……」
好きだから、でしょ。
聞くまでの事じゃないじゃない。
そう思っていた私の心を見透かしたように里麻がフッと笑った。
「流星(りゅうせい)は?」
聞き間違いかと思った。
里麻があいつの名前を口にした。
心に重いショックを受ける。
「流星のことは、もう好きじゃないの? あれだけ悲しんでたくせに」
「だって……」
私は口を開けた。
なんでいまさらあいつのこと、思い出させるの?
思い出したくないくらいの過去なのに。
「だって?」と目の前に里麻の怪しい笑みがこぼれた。