あの空の音を、君に。



「え、本気なの?」

「え、本気じゃないの?」



私がきくと、今度は目を丸くして彼がきいてきた。

表情転換が忙しい人だ。



「だって、私、電話帳は呼び名で登録してるし」

「じゃぁ俺のこと伊月って呼べばいいじゃん」

「はぁ?」



いとも簡単にすごい事を口にする彼。


「俺もあんたのこと、涼って呼ぶからさっ」


「呼んでみ?」と笑った右頬にエクボを浮かばせながら言った。




「……伊月?」

「何その疑問形」



さっきから笑ってばかりいる彼は当たり前のように言う。


でも!

人見知りが激しくて男の子を呼び捨てで呼んだことがない私にとっては大変なことなんですけどっ!


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