禍津姫戦記
 ちらちらと踊る火明かりのなかで、寝顔を眺める。
 夜は長い。たとえ眠り込んでいても、ハバキがそばにいてくれるのはやはり心強かった。
 ふりかえった姫夜の前に、長い裾をひく白い衣に、ふわりとたなびく比礼(ひれ)をまとったほっそりした女人が立っていた。
 髪は濡れたように黒く、見開いた眼は夢見るように煙っていた。
< 306 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop