溺愛MOON
「ねえ、この辺でお酒飲めるところってないの? 今日、泊まりなんだよね」

「……お酒ですか。居酒屋さんが一軒ありますけど、地元の方が多いので観光客さんにはあまりおススメじゃないです」

「地元って漁師さんの溜まり場って感じ?」

「ええ、そうです。取材とかも断ってるらしいですよ」


勝手にマスコミ関係かなと思ってそんな情報も伝えてみた。

けれど彼は特に気にする風でもない。


「観光客の方はビール買ってお部屋で飲むって方がほとんどですよ」

「ふーん」

「あ、でも」

「でも?」

「今日もあそこですか? 坂の上のホテル。あそこって確かバーがあったような」

「あー」


私が言うと稲垣さんは思い出したといったように眉間にシワを寄せた。


「そういやこの間シホさんと飲んだわ」
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