溺愛MOON
その女性は島唯一のホテルの名前を口にした。


まだ新築して1年経っていないお洒落なアジアンテイストの隠れ家風ホテルで、私も泊まってみたいなーと密かに憧れていた、あの。


やっぱり旅行客だったらしい。

あぁ、いいなー。


私もあんなところに彼氏と二人で泊まって、ゆったりと過ごしたい。

てことはこの二人も恋人同士でリゾートに来たのかな?


それにしては二人ともスーツだし……。


ホテル関係の人かな。


おっさんがホテルに電話をして、迎えに来たホテルの車で彼女達は去って行った。


「はぁ、あんな格好でこんなとこに旅行に来る人らもいるんですねー」


彼女達が去った後、私が感心したように言うと中条さんは「たまにあるんだて」と言った。


「こんな島だけど、仕事に使う人もいるでな」


中条さんの言葉で、私は無意識に島のことを馬鹿にするような発言をしていたことに気づき、消え入りたくなるように恥ずかしくなった。
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