溺愛MOON
でも今さらそれを謝るのも、馬鹿にしていることを肯定しているようでできなかった。


やっぱり駄目だ、私は。

無意識に島と自分の間に境界線を引いている。

自分はここの人間じゃないって思ってる。


やっぱり早くここを出よう。

私は黙って、食堂の割引券をパンフレットに挟む作業に没頭した。










昨夜見た彼が気になって、気になって、早く海辺へと行きたかったけれど、その夜は生憎雨になった。

中条さんの話では夜光虫の群生は毎日見られる、というわけではないらしい。

なんとなく私は夜光虫が光らないと、あの彼に会えないような気がしていた。


島には娯楽がない。

カラオケもなければボーリング場もない。

もちろんダーツもビリヤードもない。


雨が降って、海に出れなければ大人しく家に引きこもるしかなく――、鍋でひたすらカレーをグツグツと煮込んでみた。
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