溺愛MOON
バラエティ番組をぼんやりと見てる私の耳に、定期的にポツポツと響くのは雨音。


ただし、私の家の中から。


木造の長屋は天井裏のどこかが腐りでもしてるのか、天井の隅には染みが広がり、そこからポタリ、ポタリと滴が落ちる。

私は滴の落ちる場所にコップを置いて畳が濡れるのを防いだ。


昭和だ。

私の人生で雨漏りがする家に住むなんて経験があろうとは。


人生は何が起こるか分からない。


右隣の壁からはガタガタと物音まで聞こえる。

ネズミもひどくなる雨漏りに大騒ぎしているのかもしれない。


私は窓際に立って海の方を見つめた。

人魚姫もこの雨じゃ上陸して来ないだろう。
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