溺愛MOON
かぐやと視線が合うことはなかったけれど、彼と同じ空間で同じ空気を感じていることを、私は心地良いと感じていた。

素敵な宝物を見つけた気分だった。


その夜いつまでも帰ろうとしない彼の傍にいたくて、私もずっと海を眺めていた。


海は本当に不思議。

見ていて飽きるってことがない。

この波音には何かヒーリング効果でもあるんじゃないだろうか。

このまま何時間でもいられる自信がある。


けれど、次の日も仕事がある私は眠たさが限界になってきていた。

何度も目をこする私に、彼は「眠たいなら帰れば」と言った。


「んー……。また会える?」

「さぁ」

「お迎え、いつ来るの?」

「……俺、ここに監禁されてんだ」

「監禁!?」
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