溺愛MOON
かぐやに騙されてるだなんて思ってない。

だって私は何も持っていない。

騙すメリットもないのが今の私なのだ。


だけどそう思われるぐらい、私達の関係が他人から見て不自然なものであることが悲しかった。

私からすれば、私達まるで一人の人間だったんじゃないかってぐらい、かぐやの隣はしっくり私に馴染むのに。


だけどそれはもしかしたら私の独りよがりな感情かもしれない。

私は、今まで私ばっかりでかぐやの感情をちっとも見ようとしていなかったことに、今更ながらに気づいた。


「……騙されては、いないと思う。けど……」


――愛されては、いないかも。


口に出したら悲しくなっちゃうから、言えなかった。

やっぱり誰かに話したりしなきゃ、よかった。


私、やっぱりかぐやのことが好き。


おとぎ話だって、昔話だってそうじゃん。

話したら魔法が解けちゃうよ。


その日から数日は避けるようにして、かぐやの部屋には行かなかった。
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