溺愛MOON
かぐやに連絡する手段はない。

私達の間には約束の一つすらない。


だから私が会いに行かなきゃ、もしかしたらこのまま終わってしまう関係性なのかと思った。

そしたらすごく悲しくなって、私は自分が空っぽになってしまったかのように感じていた。


部屋に敷いた布団の上にゴロンと転がって、シミのある木の天井をボーッと見上げていると、コツコツと窓ガラスを叩く音がした。

ガバッと布団から起き上がってカーテンを開けると闇に溶け込むようにしてかぐやが立っていた。


少し不満そうな表情。

慌ててカギを開けるとかぐやが部屋に上がって来た。


「……ど、どうしたの?」


かぐやが会いに来てくれた。

その自発的な行動が信じられないくらいに嬉しくて、逸る鼓動を抑えることができない。


「それ、こっちの台詞なんだけど」

「え?」

「風邪でも引いた?」


ぶすっとしながらも体調を心配してくれるかぐやの声に、表情に、きゅきゅーっと胸が鳴くのを感じた。
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