溺愛MOON
狭い洗面所に半裸のかぐやがいると緊張する。

なのにかぐやは私のTシャツの裾にまで手をかけて脱がそうとしてきた。


「待って、待って。何!?」

「シャワー」

「うん!?」

「一緒に浴びようと思って」

「それはちょっと……、無理でしょう!?」

「なんで。早く脱がないと風邪引く」


至極当然のような顔をしてTシャツの裾を捲くるかぐやの両手首を私は掴んだ。


「い、家でシャワーするからいい!」

「ふぅん。じゃあ今日はもう来ないんだ」

「え?」


確かに家でシャワー浴びてもまたかぐやの家に来る途中でずぶ濡れになってしまう。


それは嫌だし、何よりこんな台風の日は心細いから一緒にいたいと思う。


「じゅ、順番に浴びればいいし……」

「却下。風邪引く」

「で、でも」

「電気消す」

「でも」


最後は俺と一緒じゃ嫌なの、という一言に押し切られ、かぐやと一緒にシャワーを浴びることになった。
< 82 / 147 >

この作品をシェア

pagetop