ソラナミダ
有名な映画監督の…作品であった。
晴海くんがこの監督作品に出るのは3作品目で……
初めての主演でもあった。
1作目は、観たことがある。
けれどそれは…、かなり昔のことで……
記憶は朧げ。
でも、かなり面白かったという漠然とした印象は残っている。
当時は宇野晴海の存在を知らなかったけど…
彼に、その役柄を聞いて…、すぐにピンときた。
異才を放つ少年。
独特であって、
話の鍵を握る重要な人物。
あの人が晴海くんだったなんて……、
思わず納得したのと、微妙な違和感とが交差した。
確か……、怖かったのだ。
ものすごく、怖かった。
その子の、危機迫る演技が………。
二人ソファーに並んで、最新のDVDを観る。
その間……
ほとんど会話なんてなくて、コーヒーを出して「ありがとう」と礼を言われたくらいで……
お互いに見入っていた。