ソラナミダ
木村さんの好きそうな居酒屋。
「のんべえ」ほどじゃないけど、肩と肩がぶつかるくらいに狭い店内。
「お~、平瀬ェ、お前こっちに来いや。」
「はいはい、ただ今!」
木村さんからの呼び出し……。
そして、なぜか幹事のように忙しい私。
「木村さん何飲んでらっしゃいます?」
「これこれ。」
「ささ、まあ一杯。」
おちょこに熱燗。
「なかなか気がきくようになったじゃないか。」
「……ははっ…、年の功ですかね。」
一方の博信は美帆とツーショット。
全然話せてないよぉ~!
「平瀬さんは何にしますか?」
うなだれる私に、ナイスアシスト!
新人・加藤ちゃん。
「お前全然飲んでないじゃないか!加藤、よく気づいた。」
エロおやじ……。
顔、緩んでますよ?
「まあ、加藤ちゃんもここ座りなよ~!」
親父の説教二分して~!
「あ、あっち都築さん一人になっちゃうので……。」
………。
加藤ちゃ~ん……
余計な気回しもういいよ…。
「なる程。若者は若者同士、まあ今を楽しめっ!」
手で追い払う仕草をしながら、木村さんはぐいっとひとのみ。
加藤ちゃんはその言葉をアッサリ真に受けて……
「すみません、失礼します。」
…行ってしまった。
「…………。」
それにしても……
どうよ、この雰囲気。
都築くんと加藤ちゃんはまるでカップルみたい。
あとは、男性陣の小グループに……
女子会組。
交わってるようで……
全然、交わってないし。
私と木村さんは……、
うん、どうみても「会社帰りの上司に付き合わされる部下」の図。
「…………。」
美帆と博信は……
何だか真剣な面持ちで話こんでいる。
う~……
大人な雰囲気。
なになに、何の話してるのさ。
気になって気になって、チラチラと目線を送るけど……
どちらも全く気づかない。
時折、博信の笑い声が…こっちまで聞こえてきた。
相手が美帆とはいえ……
ああ……、
もやもやする~…!!!
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