ソラナミダ
「お前どうして今日は飲まないんだ?酒豪のくせに。」
木村さんの声に、ようやく我に返る。
「…あ…、それは…」
これから控えてる(はずの)二人の時間に備えて…
なんて言ったらエロっぽい。
「帰ってからひと仕事控えてるんで。」
「…お前は…真面目か!そんなん気にしてたらなあ、うまい酒もまずくなるぞ。」
おっしゃる通り…。
気になる対象は違えど、酒が喉を通らない。
「…なあ……、平瀬。」
「…はい。」
「会社で…余計なことを言ったか?」
「…え?」
「あのな、社内恋愛が悪いとかそういうんじゃない。ただ、なんでも完璧にこなそうだなんて…お前にゃ到底無理な話だ。」
「…………。」
「仕事をぬかりなくこなしたい気持ちはわかる。けどなあ、どっちも完璧にできるような人間はどこにもいないんだよ。」
「…けど…」
「その努力は必要かもしれない。けどどっかで息抜かないと。息ぐるしくなって共倒れするぞ。」
「………。」
「俺はあいつもお前もちょっと特別に買ってる部分はあるからな。余計なお節介だと思うかもしれない。まあ……、つまりはもっと軽~く、肩の力抜いて!」
「………重たいですか?」
「……は?」
「こういうのって、空回りって言うんですかね…。」
「…平瀬…?」
「仕事は順調です。でも……恋は……どうしたらいいのかわかりません。正直、わからないんです。」
「……うまく…行ってないのか?」
「……わかりません。」
「……参ったな、俺の経験談じゃ参考にならないし……」
木村さんが、落ち込んだ私におろおろする。
「…いや、うまくいってるかもしれないです。でも……気持ちが足りないっていうか。」
「久住が、か?」
「…名前はシークレットです。」
「…そうだな。じゃあ…、相手の方が?」
「…いえ…。」
「お前が?」
「……はい。指摘されたんです。私は私なりにやってるつもりでした。でも……相手の出方に応えるだけで、自分からは何もしてないんだって…気づいたんです。」
「…………。」
「…なのに…やっぱり上手くできない。正解がわからないんです。」
木村さんはいつになく真剣な顔つきで……
腕組をして、何やら考えこんだ。
木村さんの声に、ようやく我に返る。
「…あ…、それは…」
これから控えてる(はずの)二人の時間に備えて…
なんて言ったらエロっぽい。
「帰ってからひと仕事控えてるんで。」
「…お前は…真面目か!そんなん気にしてたらなあ、うまい酒もまずくなるぞ。」
おっしゃる通り…。
気になる対象は違えど、酒が喉を通らない。
「…なあ……、平瀬。」
「…はい。」
「会社で…余計なことを言ったか?」
「…え?」
「あのな、社内恋愛が悪いとかそういうんじゃない。ただ、なんでも完璧にこなそうだなんて…お前にゃ到底無理な話だ。」
「…………。」
「仕事をぬかりなくこなしたい気持ちはわかる。けどなあ、どっちも完璧にできるような人間はどこにもいないんだよ。」
「…けど…」
「その努力は必要かもしれない。けどどっかで息抜かないと。息ぐるしくなって共倒れするぞ。」
「………。」
「俺はあいつもお前もちょっと特別に買ってる部分はあるからな。余計なお節介だと思うかもしれない。まあ……、つまりはもっと軽~く、肩の力抜いて!」
「………重たいですか?」
「……は?」
「こういうのって、空回りって言うんですかね…。」
「…平瀬…?」
「仕事は順調です。でも……恋は……どうしたらいいのかわかりません。正直、わからないんです。」
「……うまく…行ってないのか?」
「……わかりません。」
「……参ったな、俺の経験談じゃ参考にならないし……」
木村さんが、落ち込んだ私におろおろする。
「…いや、うまくいってるかもしれないです。でも……気持ちが足りないっていうか。」
「久住が、か?」
「…名前はシークレットです。」
「…そうだな。じゃあ…、相手の方が?」
「…いえ…。」
「お前が?」
「……はい。指摘されたんです。私は私なりにやってるつもりでした。でも……相手の出方に応えるだけで、自分からは何もしてないんだって…気づいたんです。」
「…………。」
「…なのに…やっぱり上手くできない。正解がわからないんです。」
木村さんはいつになく真剣な顔つきで……
腕組をして、何やら考えこんだ。