ソラナミダ
私といちかさんは、
思いの他ガールズトークで盛り上がり……
気づけば、日付が変わっていた。
何度か様子を見に行ったけれど……。
帰ってきている気配は……
ない。
「平瀬さんに話したら…スッキリしちゃった!」
いちかさんは本当にスッキリしたような…曇りのない笑顔を見せていた。
「……いちかさん、今日仕事は……?」
「…んーと…、5時には起きて行かないと。」
「えっ…、じゃあ寝ないと……」
「でもまだ……」
「……泊まって行きますか?」
「でも着替えも化粧道具もないし……」
「……。ほんと、突発的に来たんですね。」
「…よく無鉄砲って言われる。けど、現場にはすっぴんで行けるし、何とかなるかな。」
「…服なら私のでよければ。サイズが合わないかもだけど。」
「……。ありがとう。お願いしちゃおっかな。なんか…こういうの初めてで嬉しいかも。」
「……え?」
「友達の家に泊まるのとか。」
……ともだち…?
「…あ、ごめんなさい、一人でウキウキしちゃって。」
「いえ…、私も、こーゆーの大好きです。」
私たちは……
顔を見合わせて笑った。
いちかさんがソファーでごろんと横になる。
「……なんか……、三ツ葉保険のCMの続きでも見てるみたい……」
かわいすぎる……。
「………やだなあ、もう。」
頬っぺが赤くなるのも…
かわいかった。
「………迷惑じゃなければ……、また来てもいいかな。」
「……え?」
「『彼に』じゃなくて…、平瀬さんに会いに。」
「……もちろんです!」
私はこの時嬉しくて……
まだ、気づいてさえいなかった。
この夜の出来事が…
ちょっとずつ、
色んな人を……
傷つけていることに……。